フォールアウトの小説

1 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/24(土) 00:24:19 ID:
 今日は晴天。西海岸の気象広報官がそう伝えていた。
 ラジオの電源はしばらくつけたままだ。この荒涼とした砂漠の中で、人の声と、心を古きよき時代の歌が、私の心の渇きを癒やす。
 ラヂオに火を入れ、ダイヤルを560キロサイクルにわせると、聞こえてくる生の人間の声と、古き良き時代の音楽。
 これを聞いていれば、どんな状況でさえ、自分を見失わない自信がある。
 もっとも、政府の宣伝放送は私にとって大した意味を持たない。私はNCR市民ではないし、これでも独立自営の商人だ。大して恩恵も受けたことがないわりに、商人として納税を強要されているので、そういう甘い言葉には踊らされないどころか、反吐が出る。
 でも、人としての知覚は自然と求めてしまうものなのだ。
 私が人である限り、暇さえあれば、美しく奏でられる人の声を聞き続けるだろう。

 私がハイウェイ56を歩いているのは、次の町ビクターで仕事にありつくためだ。
 もう紹介も受けている。
 ついでに街で売れそうな商品も運んでいる──はずだったのだが、資金不足で仕入れができなかった。
 キャラバン公社で金を借りようとしたが資産総額の少なさを理由に断られた。
 そのために、私は無一文となっている。まるでスカベンジャーだ。

 なにか売れるものが道端に転がっているはずもないのだが、足元を見て探してしまう。
 首も凝ってきた。
 ビンボーは辛いものだ。

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