【話題】「ゲームライターになろうとするな」(前編) ─ ゲームで遊んでお金をもらう難しさ[07/31]

1 しじみ ★ 2018/08/02(木) 14:31:11 ID:
■ゲームライターをおすすめしないゲームライター

最近は私もゲームライターとして多少は認知されてきたのか、「実は自分もライターになりたいんです」なんて相談をもらうようになった。一件くらいなら「まあ、聞く相手を間違えたのだろう」と思いつつも返事ができるわけだ。

しかしながら同じような相談を別人から複数回もらうようになると、さすがに腰を上げてきちんと書いたほうがいいかもしれないと思うようになる。そしてもはや隠さずに言おう。「ゲームライターになろうとするな」と。  

■とにもかくにもゲームライターは“割に合わない”

現在筆者はフリーランスのゲームライターとして働いているが、この仕事を始める前に何人かに相談をした。結果、「ゲームライターにならないほうがいい」と答えてくれた人がふたり、そして「ゲームライターには簡単になれる、仕事も紹介する」と言った人がひとりとなった。話を聞いた限りでは前者の論理のほうが圧倒的に正しいと思ったし、今でもそう思っている。

さて、そもそもゲームライターとはどんな仕事をしているのか。各ゲームメーカーが配布するプレスリリースをニュース記事にしたり、おすすめのゲームを紹介したり、体験会に参加してレポートを書いたり、あるいは関連イベントの取材を行うなんてのもそうだろう。クリエイターにインタビューしたり、各ライターが考えた独自の特集記事を書いたり、紙の仕事であればファンブックや攻略本の制作も該当する。結局のところ、ゲームにまつわる文章を書くと考えてもらえばいいだろう。

ゲームライターというと“ゲームを楽しく遊んでいるうえにお金までもらえる理想の職業”なんて思ってしまう人もいるらしいが、実際はこれほど割に合わない仕事はないといえる。IGN JAPANでは特に力を入れているゲームレビューを例として見てみよう。

このメディアにおいて、ゲームレビューの記事は3種類に分けることができる。本家IGNの翻訳記事、IGN JAPAN編集部に所属する人が書いた記事、そして外注のライターが書いたレビューとなる。

この3種類を使い分けているのはいくつかの理由があると思われる。たとえば、特定のライターがその作品やジャンルが好きでとても詳しいからという理由だったり、あるいはIGN本家のレビューが単純に立派なので新たに書き起こす必要がないこともあるだろう。そして、他には原稿料の問題というものがある。

『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』のレビューはIGN JAPAN編集部のクラベ・エスラ氏が、そして『ゼノブレイド2』のレビューは同じく編集部員の野口広志氏が担当している。もちろんこのふたりはレビューする作品に詳しいため書き手の資質としても申し分ないが、もうひとつ気になるポイントがある。これら作品の共通点は、しっかりやりこもうとすれば100時間以上かかってもおかしくないほど大ボリュームだということだ。

もし、これら作品のレビューを外注のライターに頼んだとしよう。時給が1000円だとしてプレイするのに100時間、記事の執筆は5時間程度でさっと終わらせるとする。すると、それだけでも原稿料は10万近く必要になるわけだが──。正直なところ、ゲームレビューの執筆に10万も払う媒体はまずほとんどないだろう(現状、あり得るとすれば、書き手が非常に特別な場合だ)。

クラベ氏および野口氏は確かにゲームライターだが、それ以前にそもそもIGN JAPAN編集部に属する人物である。となれば作業時間に見合う原稿料を……、などと考える必要はなく、単純に業務のひとつとして行えばいい。そして、そういった重たい仕事を外注に安い値段で振らず、編集部内で仕上げようというのは良心的であると捉えることもできる。

https://sm.ign.com/ign_jp/screenshot/default/image3_r7ep.jpg
https://jp.ign.com/ign-japan/26962/feature/
続く)

2 しじみ ★ 2018/08/02(木) 14:31:35 ID:
続き)>>1
そもそもゲームのレビューというのは非常に手間と労力がかかるだけではなく、繊細なコンテンツだ。メディアは各メーカーと仕事上で繋がりがあるわけで、親しくしているメーカーのゲームに時には低い点数をつける必要がある。それにゲームプレイが重たい仕事ならば、序盤だけ触って軽く紹介したほうが無難だろう。それをわざわざ本気でやっていくのはなかなか大変なことではなかろうか。

しかし、こう考える読者もいるはずだ。「そんな大作は無理でも、執筆含め10時間程度で終わるゲームならば、十分な報酬なのではないか?」と。アルバイトとして考えればそうなのだが、正式な仕事と考えるとこの意見は苦しい。

そもそも派遣の一般事務でも時給1500円は出るだろうし、だいたい専門的でない人が書いた記事というものは読み手に嫌われやすい。専門性というとゲームに詳しいかどうかという部分が重要かと思われるが、それだけではない。IGN JAPANでは作家である藤田祥平氏がゲームレビューを書くこともあるように、文章の専門性を求められる時だっておおいにあるだろう。あるいはIGN JAPAN編集長のダニエル・ロブソン氏や副編集長の今井晋氏のように、専門的な音楽の知識が重要になる可能性も十分にありうる。取材なんかになると、ゲームライターであっても写真の腕が必要な時も出てくるわけだ。

そもそもフリーランスの場合、有給休暇やボーナス、あるいは退職金といったサラリーマンにあるような概念は存在しないため、額面の報酬は通常より高くもらわなければやっていけないのだ。サラリーマンの収入の2倍~3倍もらってそれと同等と言われることもある。

もちろん、PR記事(広告案件)の仕事はたいてい原稿料がいいし、定期的なニュース記事の仕事などはいくらか割に合う場合もある。とはいえやはり、ゲームは他の娯楽に比べて拘束される時間が長いし、シリーズを丁寧に把握するのであればそれこそ何十年も追い続けねばならないことすらある。それに見合うものが出るかと言われれば、残念ながらノーと言うべきだろう。

■“情熱を安売り”するゲームライター

それでも、ゲームレビューや作業量が非常に多い記事を外注のフリーライターが書いていることはしばしばある。彼らがいくらもらっているかは正確にわからないが、おそらく割に合わないケースが多いのではないだろうか。にもかかわらず、なぜ彼らはレビューや重い記事を書いているのか? それは、そのゲームに対する情熱を持っているからだ。

少なくともゲームレビューやゲーム攻略のように、ゲームプレイに時間がかかるものはまず割に合わない。すると当然、割に合う書き方をする人が出てくる可能性がある。それはまともに遊ばず書いたり、あるいはどこから情報を盗んでくるというやり方だ。しかしそれはゲーマーにとってはもちろん、ゲームに関する文章を書く人にとっても「それならば自分が書きたい」と思わせる卑劣な行為である。

プライドを持ち、生活にいくばくかの余裕があるゲームライターは、そこで意地を張るわけだ。とはいえ、それでも割に合わないことは変わらない。ならば考え方を変えればいい。「ゲームプレイはあくまで趣味の時間、原稿を書く時間が仕事の時間だ」と……。

これならばなんとか“割に合う”ように思えるわけだが、それはやはり虚飾に過ぎない。結局のところ、ゲームライターは情熱を安売りして記事のクオリティを上げるのが実情なのである。

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https://jp.ign.com/ign-japan/26962/feature/
続く)

3 しじみ ★ 2018/08/02(木) 14:31:48 ID:
続き)>>1
■ゲームへの情熱が金の代わりに燃料として使い捨てられる

ここでひとつ思い出話をしよう。数年前、私はとある編集プロダクションからゲーム関連のファンブックの依頼をもらったことがある。原稿料がやたらと安くあまり乗り気ではなかったが、避けられない付き合いがあったためしぶしぶ請けざるを得ないような状況であった。

ともあれなんとか仕事をこなしていくと、攻略ページに問題があるとわかる。その作品はわざわざ攻略を見る必要があるほど内容が難しいわけではないのだが、フラグが割と複雑であった。そこで、別のライターが書いたその攻略ページを、私に一から確認して欲しいと編集者から依頼が来たのである。

とはいえ、依頼といってもこれは仕事ではなくお願いだった。「ゲームをプレイしているのだから、それをタダでチェックしてくれ」ということだ。さて、ここで問題である。もしあなたが同じような状況に陥った場合、本のクオリティを上げるために頑張るだろうか? あるいは、ただでさえ原稿料が安すぎるのだから余計な仕事は引き受けたくないと考えるだろうか? なお、こういった仕事では契約上ゲームデータの解析が行えないため、攻略は地道で膨大な作業が必要になる。

結論からいうと、私はそこで情熱を安く売ることができなかった。結果、攻略情報はほとんどそのまま素通りし、本になる。幸いなのは、この攻略情報にはいくらか問題があったものの、発売後ほとんど誰もそれを指摘することがなかったことだろう。

しかしながら、そのゲームに詳しい読者であれば瑕疵を見つけているだろうし、これがもし攻略情報がとても重要なゲームだったら大きな問題に繋がったはずだ。それならば、ゲームライターは情熱を安売りしてきちんと検証すべきと思う人もいるかもしれない。

とはいえ、これは結局のところ仕事だ。いくらゲームが好きだといってもなんでもかんでも好きなわけではない。ましてや仕事になるとゲームを遊ぶとはいえ苦痛になることもある。それにもしこれが、「サービス残業をしてでも仕事を完璧にしあげろ」なんて話だとするならば反対する人も増えることだろう。割に合わない仕事を無理にしてしまえば、ダンピングにすらなる。

いずれにせよ情熱の安売りには限界がある。まずそれは、ライターの善意が必要であるということ。そして、安売りをし続けていると情熱を持つことが損になっていく。それはつまり、ゲームライターが持っていた情熱が浪費されていくことだ。おそらくゲームライターになりたいという人は強い情熱を持っているのだろうが、それはいずれすり減ることになっていくだろう。ゲームが好きでその仕事を始めたのに、そんなことを続けていたら嫌いになったっておかしくない。

なお余談になるが、この苦しい仕事を紹介してくれたのは前述の「ゲームライターには簡単になれる、仕事も紹介する」と言った人である。

さて、後編ではゲームライター不要論について語ろうではないか。時代が進むたびに新たなゲームに対する接し方が変わってくる。すると時代が変わり、ゲームライターという存在はいらなくなるかもしれない。しかしながら──そこにこそ、可能性はまだ残っているのだ。

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https://jp.ign.com/ign-japan/26962/feature/

4 なまえないよぉ~ 2018/08/02(木) 14:32:10 ID:
楽な仕事をチョッパリに渡したくないニダまで読んだ

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